(3)マタハラのタイプとは
「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」(マタハラ)には「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」があります。
①制度等の利用への嫌がらせ型
1)解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
労働者が、制度等の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。以下同じ。)をしたい旨を上司に相談したことや制度等の利用の請求等をしたこと、制度等の利用をしたことにより、上司がその労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆することです。
(具体例)
・産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら辞めてもらう」と言われた。
・時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。
2)制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの
以下のような言動が該当します。
ア.労働者が制度の利用の請求をしたい旨を上司に相談したところ、上司がその労働者
に対し、請求をしないように言うこと。
イ.労働者が制度の利用の請求をしたところ、上司がその労働者に対し、請求を取り下
げるよう言うこと。
ウ.労働者が制度の利用の請求をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚がその労働者に 対し、繰り返し又は継続的に、請求をしないように言うこと。
エ.労働者が制度利用の請求をしたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、その請求等を取り下げるよう言うこと。
(具体例)
・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業を取るなんて
あり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。
・産後パパ育休の取得を周囲に伝えたところ、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。
あなたもそうすべき」と言われ苦痛に感じた。
・介護休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。
あなたもそうすべき」と言われた。「でも自分は請求したい」と再度伝えたが、再度
同様の発言をされ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。
3)制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの
労働者が制度等の利用をしたところ、上司・同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることをいいます。
「嫌がらせ等」とは、嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、又は専ら雑務に従事させることをいいます。
(具体例)
・上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人にはたいした仕事はさせられない」と
繰り返し又は継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)。
・上司・同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」
と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている
(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む) 。
②「状態への嫌がらせ型」とは
女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境が害される ものをいいます。
1)解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
女性労働者が妊娠等したことにより、上司がその女性労働者に対し、解雇その他の不利益な取扱いを示唆することです。
(具体例)
・上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と
言われた。
2)妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの
女性労働者が妊娠等したことにより、上司・同僚がその女性労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすること。
(具体例)
・上司・同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し
又は継続的に言い、仕事をさせない状況となっており、就業をする上で看過できな
い程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合にさらに行われる言 動も含む)。
・上司・同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続
的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている(意に反すること
を明示した場合にさらに行われる言動も含む)。
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