(2)セクハラについて定められている法律

   職場でのセクハラを規制する法は、1985年に制定された 「男女機会 均等法」にあリます。

  これは国連の女子差別撤退条約を採択・批准したことで制定され、

 19944月には「女性労働者に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)防止のための配慮義務」

 が施行されました。

  そして20064月に「男女労働者に対するセクハ ラ防止の措置義務」に内容が改正されています。

 

  (改正内容)

   第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応によリ

      当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により

      当該労働者の就業環境が害されることのないよう、

      当該労働者からの相談に応じ、

      適切 に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

      2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、

      その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

 

  2006年の改正に伴い、これまでは女性労働者を対象に限定していたものが

 「労働者全般」を対象とする内容に変更されているのもポイントです。

 

  近年、女性の管理職が増えるにつれて男性のセクハラ被害の相談も増加しています。

  ひと昔前は「セクハラの被害者は女性であリ、加害者は男性である」という認識が一般的でしたが、

 今は女性から男性へ、または女性から女性へ、あるいは男性から男性へと行われるものも

 セクハラと認められるようになったのです。

 

  もうーつの大きな変更点は、正社員だけではなく、パートタイマーや契約社員、

 派遣社員といった「非正規労働者」もセクハラ対策の対象となった点です。

  派遣社員につ いては、セクハラ問題が起きた際には派遣元となる会社だけでなく、

 派遣先の会社にも その訴えを申し出ることができるようになったのです。

  これまで派遣社員は、雇用契約 自体は派道元の会社と結びますが、

 業務に関しては派遣先の担当者の指揮管理下に置かれていたため、

 雇用関係ではとても弱い立場にあったのです。

  ですから「もしセクハラ被害を訴えて「じゃあ明日から来なくていいよ」と言われたら

 仕事がなくなってしまう」とか、

 「厄介な人間と思われて契約の更新をしてもらえないかもしれない」といった心配から、

 セクハラ被害に当っても泣き寝入りをしていた人が多くいたと考えられます。

  しかし、法改正によって派遣元の会社と派遣先の会社、

 どちらにも対応する責任が問われることになりました。

  これは、非正規労働者もきちんと人権が尊重される形に なったということです。

 

※セクハラ放置は企業に大打撃を与えます

  しかし、男女用機会均等法が改正されてもセクハラに関するトラブルは消えません。

  以下のグラフを見てみると

  「女性労働者に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)防止のための配慮義務」

  がスタートした1999年以降のはずなのに、相談数は減るどころか増えていることが分かります。

   

   現在、セクハラ対策を怠るなど男女雇用機会均等法違反を犯した事業主は、

 厚生労働大臣からの改善の勧告が出ることになっています。

  この動告に従わなかった場合、男女雇用機会均等法第30条に規定されている通り

 企業名とセクハラの事実を公表しなければなりません。

 企業内でセクハラが起きたこと、さらに対策がなされなかったことが世間に知れることになるのですから、

 当然、企業としての信用が著しく低下し、企業経営においてかなりのダメージを受けることは明白です。

 

                    (出典:資格のキャリカレ ハラスメント対策テキスト)