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パワハラ4つのケーススタディ

 パワハラ4つのケーススタディ

                     (出典:資格のキャリカレ ハラスメント対策テキスト)

 職場における三大ハラスメントの一つ

「パワーハラスメント」(パワハラ)についての理解を深めるために4つのケーススタディを用意しました。

 

ケーススタディ1. 間違いを大勢の前で指摘する

 

若手社員Aが提出してきたプレゼン資料の中に、

明らかに捏造したであろうデータを見つけた上司のB

Aを呼んで確認したところ「時間がなかったのでやってしまった」と罪を認めました。

 

Bは叱ることなく「今度から気をつけよう」と告げます。

 

ところがその後、部署内の社員全員に宛てて

Aさんの資料の中にこんなものを見つけました。

これは絶対にやってはいけないことです。 皆さんも気をつけてください」

と、名指しで注意喚起のメールを送ってしまったのです。

 

●名前を明らかにした注意指導はパワハラに該当する

 

社員Aの行動に対し、

最初に上司Bがやった行動は教育上必要な注意指導なので何ら問題はありません。

きちんとAを呼んで一対一のときに確認をしていますし、

強く叱責することもしていないため問題は少ない対応といえるでしょう。

 

しかし、その後にAの名前を明記した上で部署内の

全員にその行為を知らせたのは大きな間違い。

これは、 Aへの精神的な攻撃として受け取られかねません。

 

この場合は、

名前は明らかにせず「こんなことは発生しがちなので気をつけるように」

と注意喚起と解説をするのが望ましいでしょう。

 

ケーススタディ2. 「女性なんだから・・・・・・」と仕事を与えない

 

入社2年目になる女性社員Cは上昇志向が強く、

 「もっといろいろな経験をして、仕事を覚えたい」 と常に思っています。

 

ところが、上司Dから与えられる仕事は簡単なものばかり。

Cは そのたびに「私より一年後に入社した後輩はいろいろやらせてもらっているのに……

と悔しく思っていました。

 

そんなとき、

大きな商談の打ち合わせを会議室でするというので自分も同席させてほしいと懇願した。

するとDからは

 Cさんは女性なんだから、にこにこ笑ってお茶を出してくれる方が

よっぽど雰囲気が良くなるよ。こういうのは俺らに任せて」

と言われてしまいました。

 

●過小評価をしているだけでなくセクハラにも該当

 

この場合、 上司Dは女性社員Cに対して攻撃をするために

わざと簡単な仕事しか与えていないというわけではありません。

実際には、Dからしたら「悪気はなかった」 ことなのです。

ところがCは何度も「もっと仕事がしたい」とお願いをしているのに、

その都度「女性だから・・・」とDの勝手な思い込みによってその機会を奪われてきました。

 

これは明らかなセクハラやジェンダーハラスメントに該当するので注意が必要です。

 

かなり昔には 「女性はお茶くみやコピー 取りが仕事」(今でもあるかも・・・?)

 とされてきた時代もあったかもしれませんが、

今は時代と価値観が全く違います。

 

 「なぜ部下はそんなに仕事を任されたいのだろうか」

と前向きな気持ちをしっかり酌み取ってあげるようにしましょう。

 

ケーススタディ3. 一人だけ対応を変える

 

上司Eが率いるプロジェクトチームは常にEの言う通りにしなければならず、

 部下の間では 不満が噴出していました。

 

そこで、部下FEに対し、

「そのやり方よりもこっちの方が結果的に効率が良くなるし、

今の時代にも合っていると思うのですが、どうでしょうか」

と思い切っ て進言しました。

 

 すると、 その一件があってからというものE

Fさんは俺が何も言わなくても仕事ができるんだもんなあ」 と言い、

Fにだけ仕事を教えなかったり、機会を与えなかったりといった対応を

繰り返すようになりました。

  

「人間関係からの切り離し」 は立派なパワハラ

 

上司Eの行為は厚生労働省が定めている6類型でいうところの

「人間関係からの切り 離し」に該当します。

 

この行為を見ていた周りは

 「自分も何か意見を言ったら部下Fのような目に遭うかもしれない」

と萎縮してしまうかもしれません。

 

結果、 職場の環境は 悪くなり、部下の成長も望めなくなってしまいます。

 

上司だって人間ですから間違いを指摘されたら腹が立つこともあるでしょう。

 

しかし、そんなときには少し時間を置き、

部下の発言の意図を客観的に酌み取るようにしましょう。

また、部下の立場でこんなことをされた場合には上司よりさらに

上の立場にいる人に相談を仰いでみるのも良いでしょう。

  

ケーススタディ4. 深夜に鳴り続ける通知音

 

社員Gの職場では、

ビジネスチャットのグループをつくって日々の業務の進捗など報告をし合うのが常でした。

しかし、このところ上司Hから休みの日でも頻繁に

「この仕事はどうなっているか」

「この資料の作成を明日までに誰かにお願いできないか」

といった連絡が届くよう になりました。

 

さらにはとっくに業務時間外であるはずの

21時以降にもお構いなしに仕事に関する連絡が来ます。

返事をしなければ怒られるかもしれないと、

Gはスマホの通知音 が鳴るたびにビクビクするようになってしまいました。

  

●仕事とプライベートは分けるべき

 

休日や業務時間外など、

プライベートな領域に連絡を入れるのは「個の侵害」に当たります。

また、LINEなどSNSのダイレクトメッセージツールは

受信者がメッセージを確認すると既読したことが相手に伝わる機能がついていることがほとんど。

 

これが心理的負担となり、

社員Gのように「返信しなければ怒られる」と感じてしまうケー スはよく見られます。

確かにLINEは気軽にメッセージを送れることから非常に便利ではありますが、

ビジネスでの活用ではパワハラに発展しかねません。

 

いちばんは 「勤務時間外の連絡は抑制・禁止する」 ことですが、

「どうしても思いついたときに連絡を したい」 という場合にはあらかじめ

「深夜などにLINEやメールが来た場合、返信はメー ルで翌日の勤務時間にする」

といった全員へのルールを設けて社員の心理的負担を軽減するよう心がけましょう。

 

以上です。

身に覚えのある行為はありませんでしたか?

ハラスメントについては知らず知らずのうちにやってしまうこともあります。

いろいろなケーススタディを見て従業員全員で話し合ってみるとさらにいいと思います。

 

 

 

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