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叱る時の7つのポイント

部下と接する上で絶対に守ってほしい7つのポイントがあります。

それぞれの頭文字をとって「か・り・て・き・た・ね・こ」と覚えてください。

                 (出典:資格のキャリカレ ハラスメント対策テキスト)

『か』―感情的にならない

もしも「怒り」の気持ちが消えない状態であれば時間を

置いて感情の波が静まってから部下と話すようにしましょう。

感情が爆発した状態で指導に当たっても、その言葉は部下には届きません。

感情をセーブすることができれば、自然体で受容的な態度でいられるはずです。

 

『り』―理由を話す

感情を抑えて理性的に指導に当たった場合でも部下の中には「上司から八つ当たりされた」

「自分のことが嫌いだから嫌がらせを受けている」と誤解してしまう人がいます。

それは、なぜ叱られているのか理由が伝わっていないからです。

「言わなくても分かるだろう」と思っているようでは、

部下との心の距離は縮まりません。

 

「同じミスはもう繰り返してほしくないから」

「もっと楽しく働いてほしいから」など、

しっかりとしたフィードバックは、

一眼レフのカメラのピントを合わせるつもりで慎重かつ緻密にやる」

ことが公のルールでした。

 やり方は企業や個々人によって変わるはずですが、

日本の企業に色濃く残る「伝わっているだろう」という以心伝心のような考え方には、

誤解が生まれやすい土壌があるともいえるのです。

なので、しっかりと理由を示すことが大切です。

 

『て』―手際良く

ケースバイケースではありますが、

部下に指導をする際はできるだけ短時間で行いましょう。

あまりだらだら話し過ぎると本質からずれて、

本来伝えるべきポイントがぼやけてしまいますし、

部下も次第に「いつまで続くんだろう」と余計なことを考えてしまうようになります。

伝えるべきことは一つに絞り、言いたいことはあらかじめ整理しておきましょう。

上司はあまり多くを語る必要はありません。

今後、どうしたらよいのかについては部下本人に語らせることが重要です。

 

『き』―キャラクターに触れない

相手の外見や特徴、言動の癖、性格や人格を否定するコメントは絶対にタブーです。

相手が犯したミスや行動と性格は切り離して考えることが重要です。

そのためにもこれまでの経緯やいつもの感情はいったん横に置き、

目の前で起きた事実を淡々と捉えて話しをする意識が求められます。

 

『た』―他人と比較しない

他人と比較をされるのが好きな人は、そういないでしょう。

他人と比較されて𠮟られることほど自尊心を傷つけられることはありません。

ましてや心が折れやすい部下は自己肯定感が低く、

自分と他人を比べて「自分は何て劣っているのだろうか」と落ち込む傾向があるので

注意が必要です。

また、部下の話を聴いている中で本人が

「同僚の〇〇さんはすごく優秀なんですけど、私は気が利かなくて・・・」

などと他人と比較するような発言をしたときには

「いいや、君だけの良いところがあるよ。例えば・・・」と、

部下の持っている長所を認めて褒めることに徹しましょう。

間違っても「うん。確かに〇〇さんは入社したときから頭一つ抜きん出てたよ」

と一緒になって比較したり、

「そうかな? でも〇〇さんって実は過去にこんなミスをしたことがあってさ...」と、

逆に別の人をおとしめて比較したりしてはいけません。

 

『ね』―根に持たない

「HONDA」でおなじみの本田技研工業株式会社の創業者・本田宗伊一郎氏は、

そして「パナソニック」の松下幸之助氏は「叱りの名人」だったといわれていますが、

どんなに厳しく叱ったとしても翌日には全く忘れてしまったかのように振る舞っていたそうです。

本田氏の著者にも、一晩たつと、「ちょっと怒り過ぎたかな」と反省すると書かれていました。

そして、翌日はそれとなく冗談を言って取り繕っていたようです。

いわば、叱った後のフォローができていたということでしょう。

部下のミスをいつまでも引きずったり、何度も蒸し返して叱ったりしても意味がないのです。

 

『こ』―個別に叱る

ほかの部下が見ている前で叱られて、

モチベーションがアップしたり、

「もっと頑張ろう」と自分を奮い立たせたりする人はゼロに等しいでしょう。

誰しも他人には自分の情けない姿は見られたくないものです。

プライドは傷つき、恥ずかしさのあまり逃げ出したくなってしまうかもしれません。

ですから、もし「今すぐにでも注意しなければいけない」という場合であっても、

別室に呼ぶなどして個別の面談の場を設けるようにすることが重要です。

近年は職場のグローバル化が進み、

外国人の部下がいる人も増えているでしょう。

多くの国では、人前で叱ることをタブーとしています。

良好な関係を築くためにも何かあったら「個別に叱る」を徹底しましょう。

 

最後に

グローバル化、ダイバーシティワークライフバランス、

働き方改革―企業を取り巻く環境はここ数年でがらりと変わりました。

そんな変化に対応し、自分の仕事もこなしながら人を育てなければならない。

リーダーという立場の人間の目の前には常に越えていくべき大きな壁が立ちはだかっています。

上司といえども人間です。自分一人でできることはそう多くないと謙虚に考え、

真正面から部下と向き合って傾聴に徹して信頼関係を構築していくことを大切にしましょう。

パワハラを防ぎ、部下とのコミュニケーションを向上させる最大の方法は 『傾聴』です。

最後に傾聴する上で大切な9カ条をまとめましたので、

ぜひ 日常のコミュニケーションに役立ててください。

 

傾聴の9カ条

     最後まで聴く。途中で口を挟まない。

     相づちを打つ。キーワードには応答して確認する。

     何かをしながら話を聴かない。スマホ、パソコンはOFFにする。

     理解できなくても、受容、共感、承認を心がける

     批評や批判はしない。ただし、同情もしない。

     自己開示(心を開く)とフィードバックをする。

     熱意は「話主聴従」(話すのに夢中)になりやすいので注意する。

     落ち着いて話を聴く。気になることがあれば日時を変える。

     動揺した場面では、腹式呼吸で話を言聴く。

 

 

これらのポイントに留意した指導であれば、

結果として部下には責任を持った行動を促し、

職場環境も活気のある良い状況をつくっていけるはずです。

さあ、働きやすい職場に向けて今この瞬間から、

アクションを起こしましょう!